第十六回:「新しく挑戦したいことってある?」 |
「新しく挑戦したいことですか…。 確かに、何かを始めるには良い季節ですからね」 | ||
「春だからな」 | ||
「ええ、春ですからね。そういえばこの間、 橙矢くんが機会があれば天体観測をしてみたいと言っていましたね」 | ||
「天体観測か…。宮崎なら綺麗に星が見えるだろうな」 | ||
「ええ、とてもキレイでしょうね。あと…紅輔くんは、 サバイバルゲームをやってみたいと言っていましたね」 | ||
「アウトドアだな。 そんな紅輔とは反対に翠はプラモデルを作りたいと言っていた」 | ||
「おや、翠くんがですか? プラモデルと言うと緻密な作業になりそうですが…」 | ||
「豪快な翠とはかけ離れた趣味だが… これをきっかけに集中力がつくといいな」 | ||
「そうなってくれると良いのですが…。 あとは…黒ノ介くんが、ガーデニングを始めてみたいと言っていましたよ」 | ||
「…黒ノ介がものすごい庭を作っているところが簡単に想像できるな」 | ||
「一度始めると、とことん追求しますからね」 | ||
「そういえば葵が、何か体力がつく趣味を見つけたいといっていた」 | ||
「ああ…彼はスタミナが無さそうに見えますからね」 | ||
「とりあえずバッティングセンターを勧めておいたぞ」 | ||
「一緒にキャッチボールでもしてあげればいいじゃないですか」 | ||
「…それもそうだな。今度誘ってみるか。 ところで琥珀は何かないのか?」 | ||
「僕はそうですね… アクアリウムでも始めてみようかと…」 | ||
「アクアリウム…熱帯魚か」 | ||
「ええ。以前から気になっていましたし、この際…と思いまして。 孝紫くんは何かありますか?」 | ||
「俺か?俺は…水墨画に挑戦してみたい」 | ||
「えっ?…水墨画…ですか?」 | ||
「ああ。水墨画だ。俺もああいう絵を描いてみたい」 | ||
「…孝紫くんの芸術的センスで水墨画なんて…大丈夫なのでしょうか…」 | ||
「ん?どうした琥珀?」 | ||
「あぁいえ、なんでもありませんよ」 |
「(もしかしたら、ものすごい芸術品が出来上がる可能性も… いえ…ないでしょうね…)」 |