その翌日。 2人での勧誘を始めてから桜映と香蓮は毎日早めに登校していた。 この日も例外ではなく、周囲に他の生徒がほとんどいない通学路を2人は並んで歩いていた。 「香蓮~。なにかいい方法見つかった?」 「ううん。ダメだった~。さえちーはどう?」 「あたしもダメ。とりあえず思いつくことはなんでもやろうって思ってはいるんだけど」 「思いついたことって?」 「う……それはまだ。でも!きっとこれから出てくるから。じゃらじゃらーって!」 「じゃらじゃら?」 「うん。じゃらじゃら!」 2人が他愛もない話をしていると、まもなく校門が見えてきた。 普段であればそれぞれの教室に荷物を置いた後、勧誘を始めるのだが、この日はいつもとは違った。 「東先生?おはようございます」 校門に欠伸をかみ殺しながら咲也が立っていた。 「2人ともおはよう。実はいい勧誘方法を思いついて、2人を待ってたんだ」 「え!なにかいい方法があるんですか!?」 「正確には直接勧誘をするわけじゃないんだ。今日から体育の授業が始まるだろう?学年主任の先生から、1回目の授業内容は俺が自由に決めて良いと言われたんだ。そこで授業内容をダンスにすれば皆にダンスの話が出来るし、経験者がいないか探してみるのもありだと思うんだ!」 「おぉ~、なるほど!先生、すごいです!」 桜映と香蓮が咲也に拍手を送る。咲也も満更でもない様子だった。 「あはは。ありがとう。まぁ、そんなに上手くいくかは分からないけれど、ダンスに少しでも興味を持ってくれる子がいたらいいよな」 「はい!あたしも授業が楽しみです!」 「かれんもダンスって見たことしかないから楽しみです」 「ありがとう。そう言って貰えると待ってた甲斐もあるよ。それじゃ、また後で」 そう告げると、咲也は校舎へ向かって走っていった。
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